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現在、世界中にはたくさんのプラスチックが存在しています。偏にプラスチックと言っても、代表的なプラスチックだけでも約100種類とされていますが、身近なものは大体30種類と言われています。
成形や押し出しがしやすいので、日本国内では、戦後の高度成長期にたくさん使われるようになりました。その背景には、スーパーマーケットの拡大があり、衛生的なプラスチック容器は、大量生産に向いていることもあり、食品のトレーとして使われるようになりました。
当初は、白い発砲スチロール製のトレーが主流でしが、1980年代以降は、カラーのトレーが誕生し、現在ではデザイン性に富んだトレーが流通しています。
食品用のトレーだけでもこれだけ進化している点から、プラスチックを加工する技術が進み、日常生活で使用するさまざまなものがプラスチックに変わって行った事がよくわかります。
弊社でも取り扱いが多いプラスチック製品。今回は、プラスチックの種類、特に熱可塑性樹脂について調べてみました。
熱可塑性樹脂とは・・・
樹脂、それぞれの融点まで加熱した場合、流動的になり、容易に加工などを行えるプラスチックの事です。
逆に加熱によって硬化するものを熱硬化性樹脂と言います。
その名の通り、私たちの身の回りで使用されている製品です。
基準としては、耐熱性が100℃前後であり、比較的安価である為、生活用品や工業用品などの大量生産時に使用されています。一般的に汎用プラスチックと呼ばれるのは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルで、この4種にABS樹脂、またはポリエチレンテレフタレートを加えて5大汎用プラスチックと呼ばれる事もあります。
※5種類目を追加せず、ポリエチレンを高密度と低密度に分けて5大汎用プラスチックとされる場合もあります。
世界中でもっと生産されているプラスチック。
加工がしやすく、耐水性、耐油性、及び耐薬品性や耐久性も高い上、低コストで汎用性があることで、製品の大量生産など、私たちの身の回りの製品だけでなく、さまざまな分野で使用されています。
PEは大きく2つに、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンに分けられています。
- 低密度ポリエチレン(LDPE)
- 通称:ローデン
耐熱温度:70~90℃
比重が0.910~0.930と低く、柔軟な為、ポリ袋やフィルムで使用されることが多い。
- 高密度ポリエチレン(HDPE)
- 通称:ハイデン
耐熱温度:90~110℃
比重が0.942~0.970と高く、剛性があるので、家庭用のゴミ袋やブルーシートなどで使用。
PEに続いて、多く生産されているのがポリプロピレンです。
その用途も幅広く、家電部品や包装用フィルムなどに使用されています。
また、繊維状に加工し、製織した不織布は、PPの特性でもある耐水性により、乾きやすいこともあり、紙おむつや衣類にも使用されています。
耐熱温度は、100~140℃で一般的に使用されているプラスチックの中で最も耐熱性があるので、滅菌処理を必要とする医療器具などや電子レンジでの調理にも使用できることから、食品トレーにも使われています。その反面、耐寒性に乏しく、脆化温度は、-20~0℃なので、冷凍した場合、劣化により割れてしまう場合もあります。
ポリスチレンは、発泡スチロールとしてなじみのあるプラスチックです。
発砲スチロールは、ビーズ法発砲スチロールと呼ばれ、小さな粒状にしたポリエチレンを50倍に発砲して生産されるため、成員体積の原料はわずか2%程度で、残りの約98%は空気と言う省資源な素材です。発砲スチロールは、主に緩衝材として使用されたり、食品トレーとして使用されたりすることが多いです。
しかし、耐熱温度が70~90℃と低めな為、電子レンジなど加熱調理には不向きです。コンビニなどで買ったお弁当を電子レンジで加熱したらフタが溶けたと言う経験をされた方もいらっしゃると思います。これは、耐熱性のあるPPのトレーと耐熱性が低いPSのフタと言う組み合わせで生じる場合が多いです。
発砲スチロール以外でポリエチレンは、プラモデルや冷蔵庫のトレー、照明器具、建材ボードなどに使用されています。硬く、透明性に優れていることも特徴の一つです。
※電子レンジで使用可能なプラスチックは、プラスチック製食器類のJIS規格で耐熱温度140℃以上のプラスチックとされていますが、マイクロ波を吸収して発熱し、発煙や発火する恐れがあるプラスチックも存在するので、必ずプラスチックの種類を確認してから使用する事が推奨されています。
ポリ塩化ビニルの大きな特徴は、比較的柔らかめで、曲げたり削ったりする加工がしやすい事です。
身近な製品では、電気のコードや雨どいのほか、水道管や建築資材にも使用されています。添加剤を使用すると更に柔らかくなる為、手袋や消しゴム、ビニール製のおもちゃの人形などにも使用することができます。耐油性や耐薬品性がある上、耐候性があり耐久性にも優れており、耐熱温度は60~80℃ですが、難燃性で燃えにくいので野外や電気を通さないので電気関連の製品に多く使用されています。
ABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエンとスチレンの共重合合成樹脂の事です。
元々、ポリスチレンの強度を上げるために1940年代から開発され、耐衝撃性がある上、加工性も高く、耐薬品性があるので、酸やアルカリにも強いことから多くの家電製品を中心に幅広く使用されています。
表面に光沢性があり、塗装が無くても質感が良いので、ツヤ出しの工程を部屋してコストを削減できることも特徴の一つです。
但し、紫外線などに長時間あたると劣化してしまう為、耐候性には乏しく、熱可塑性樹脂なので加工はしやすい反面、可燃性なので高温、及び火気厳禁です。
尚、耐熱温度は、70~100℃です。用途として、家電製品以外では、自動車の内装やキャリーケースの外装に使用されています。近年では、3Dプリンターで出力される際に樹脂材料として、ABS樹脂が多く利用されています。
PETボトルの普及により、近年で非常に身近になったプラスチックです。
ポリエチレンテレフタレートは、強靭性があり、衝撃に強く、曲げ伸ばしがしやすいことから成形しやすい材質です。耐薬品性も強く、耐油性があり、安全性が高いことから食品にもよく使用されています。酸素や水蒸気などを透過しにくいガスバリア性も持ち合わせており、炭酸飲料用に使用されるのもその為です。
耐熱温度は、成形により異なり、ペットボトルの場合は、85℃、薄い延伸フィルムの場合は、200℃です。
ペットボトル以外では、玉子パックなどの食品容器の他、写真のフィルムや絶縁材料などで使われています。
耐熱温度が100℃以上で、汎用プラスチックより強度があるものをエンジニアリングプラスチック(通称:エンプラ)と呼ばれています。
強度があることで耐久性に優れているので、比較的厳しい環境でも使用可能な為、自動車部品や精密機器部品などを中心に工業用品でよく使用されています。
尚、汎用プラスチック同様、5大エンプラと呼ばれているのは、以下のプラスチック。
ポリアセタール、またはポリオキシメチレン(Polyoxymethylene)と言うプラスチックは、POM樹脂と呼ばれ、耐摩耗性に優れていることから、金属の代替品として歯車などで多く使用されています。
耐衝撃性もあり強いのですが、耐候性が低いので紫外線には弱いこともあるので、屋外での使用には向いていません(屋外利用が目的の場合は、安定剤が必要)。
ポリアミドと言う名前より、ナイロンと言う方が聞き覚えのある名前かと思います。
ナイロンと言えば、合成繊維として加工され、さまざまな身近な衣類に使用されています。強度があり、摩擦にも強い上、吸水性も高いと言う点でも衣料品の素材として優れている事がよくわかります。
耐久性が高いことで、自動車部品や電子部品、耐熱性があることで、食品用フィルムなどにも使用されているので、エンプラの中でも身近なプラスチックかもしれません。
よく似た名前のポリエチレンテレフタレート、通称PETとは、化学式の一部がわずかに違うだけで、あまり特性は変わりませんが、透明性が高いPETとは違い、PBTは白色をしています。
ガスバリア性が高く、低吸水性と言う面で、家電や住宅資材などでも使用されています。加工がしやすく、精度も安定していることもあり、日本国内では最も需要が多いエンプラと言われています。
ガラスやアクリル板には劣りますが、高い透明性を持っている為、カメラのレンズなどの光学機器やメガネや双眼鏡のレンズに使用され、有機ガラスと呼ばれることもあります。
その他では、CDやDVDの表面や旅客機の客室窓、鉄道車両のフロント部分など、割と身近なものにも使用されています。耐衝撃性にとても優れており、割れにくい特性がある反面、傷つきやすく、耐疲労性は、弱い。
耐冷温度が-150℃で耐熱温度が150℃と温度域が広く、絶縁性にも優れており、エンプラの中では、最高レベルの電気特性も持ち合わせることから、アダプタやコネクタなどに使用されています。
エンプラの中でも比重が非常に小さく最軽量な上、成形収縮率も小さく、寸法精度も良いので時計やカメラ、計測機器などの精密機械製品にも使用されています。
エンジニアリングプラスチックは、大きく汎用エンジニアリングプラスチックとスーパーエンジニアリングプラスチックの2つに分ける事ができます。
後者のスーパーエンプラは、耐熱温度が150℃以上で、より機械的強度が高い上、耐薬品性もある為、金属と同様の用途で使用され場合もあります。その為、身近なプラスチックと言うより、自動車の部品を中心に工業用品や医療用品で使われることが多いです。
但し、難燃性や耐候性などにおいて、優れた特性がある為、コストがかかるプラスチックです。
アラミドとも呼ばれる芳香族ポリアミドは、軽量な上、金属以上の耐久性がある強靭なプラスチックで、自動車の部品をはじめ、航空産業でも使用されています。
合成繊維と使用される場合、耐熱性が高い上、摩耗や切断にも強いこともあるので、消防士の防火衣や防弾ベスト、宇宙服にも使用されています。
非常に高い耐熱性の特性があり、耐薬品性にも優れています。
機械部品として歯車などや自動車部品を中心に使用されていますが、食品安全性が高いこともあり、給湯器や電子レンジ、炊飯器の圧力バルブにも使用されています。
液晶ポリマーは、PCやスマートホンなどに搭載されているコネクタを中心に様々な電気・電子部品として使用されています。
剛性や弾性がとても高く、耐熱性や耐薬品性にも優れている上、高周波領域での電気特性にも優れていることから、ヘッドホン用振動板のコーティング材にも使用されています。
耐熱性、耐薬品性に加え、安全衛生性が高いことから、人工透析で使用される装置や内視鏡などの医療機器を中心に使用されています。
また、コーヒーメーカーや電子レンジの部品など身近な家電から自動車部品まで、幅広い分野で使用されています。
耐久性、耐熱性、電気特性などに優れており、自動車部品はもちろんのこと、最近では、炭素繊維複合材に配合することで、補強効果をさらに高め、航空機の軽量化にもポリエーテルスルホンは使用されています。
その他、身近なものだと最近では、メガネの軽量フレームにも使われています。
さまざまな特性を持つポリエーテルイミドは、精密機器や医療機器をはじめ、航空・宇宙開発の部品や通信分野では、光通信用の光ファイバーや無線周波数コネクタの絶縁体などにも使われています。
近年では、3Dプリンターの分野でも使用されています。
耐疲労性があり、高温環境でも高い機械的強度を保てることから、半導体製造機や駆動装置用軸受けやギヤとして自動車や鉄道にも使用されています。
但し、高価格と言うこともあり、その特性が必要な場合のみで使用される傾向にあります。
耐熱性や耐薬品性だけでなく、機械特性にも優れていることから、金属の代替などの信頼性が必要な場合に使用されています。
そのことから高温の環境で使用される自動車部品のギヤやベアリング等、また宇宙・航空開発の分野ではアルミニウム部品の代替としてなど幅広く使われています。
フライパンなどの表面コーティングで使用されるフッ素樹脂と言った方がなじみがあるかと思います。
あらゆるプラスチックの中でも最も低摩耗性で、非粘着性であることから調理器具の加工で使用されています。
コーティング以外では、半導体の製造機などや電気・化学工業分野で使われています。