原反・クロス・織機

お役立ちコラム原反・クロス・織機

原反・クロス・織機

2022.08.04
更新:2022.09.20

大村商会の防水梱包や防湿梱包に使用されている原反(クロス)について、生産の工程や使われている織機の特徴などをご説明させて頂きます。

> 合成繊維の糸(ヤーン)
> 織機について  
> 加工について

合成繊維の糸(ヤーン)

原反クロス原反に使用している合成繊維の糸は、ヤーンや見た目の形状からフラットテープ(flat tape)と呼ばれています。原料は、主にPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)ですが、最近では再生PETを利用してヤーンを生産し、環境問題に取り組んでいる海外企業もあります。

製造工程は、フィルムを生産する工程と同じで、溶かした原料をフィルム押し出し機のエアブロウで膨らます空冷式や水槽に流し込む水冷式で薄い膜状のフィルムにした後、製織する原反の規格に合わせてヤーン幅でカットされ、金属やプラスチックで出来たコーン(ボビン)と呼ばれるものに巻き取られます。

原反の規格としてよく使用される単位がデニール(Denier)で、織物の長さ9000Mあたりの重量の事です。

それと合わせて1インチ(2.54cm)四方にたて糸(経糸)とよこ糸(緯糸)が何本ずつ打ち込まれているかで、原反の規格を表します(例えば、750デニールで打ち込み本数がたて糸8本、よこ糸8本の場合は、750D 8x8と表されます)。

一般的な規格として、シート向けに950D 6x6やフレコンバッグ用に1500D 15x15などがよく使われています。

織機について

ウォータージェット織機

ウォータージェット織機1950年代にチェコスロバキアで開発され、後にスイスやドイツ、日本で改良されたエアジェット織機がよこ糸を空気砲で飛ばすのに対して、ウォータージェット織機は、その名の通り、ジェット水流の噴射によってよこ糸を飛ばすシャトルレス織機で、どちらも製織の原理は似ています。

日本国内では、1961年にプリンス自動車(現在の日産自動車)が最初の実用機を発表し、1967年頃から普及し始めました。

水の噴射によってよこ糸を飛ばす為、シャトルなどによる摩耗が発生しづらいこともあり、速く織ることが可能です(製織速度に関して、シャトル式織機の4~6倍の生産力)。

水を利用するので、疎水性のポリエステルなど表面が滑らかな合成繊維のヤーンに適しており、親水性の綿などの天然繊維は、吸湿により製織中に原反が重くなり過ぎるので使用できません。

たて糸は、コーンに巻かれたヤーンを後方から織機に向かって引っ張って張られますが、コーンと織機との距離にばらつきがある場合は、原反のたるみの原因になり得ます。

織幅に関しては、3,000mm強も生産可能ですが、生産スピードを落とす必要があり、スピードと効率を優先した場合は、1,800~2,000mm幅で生産した方が安定します。

あとに紹介するレピア織機と比べると、騒音や消費電力が少なく、織機自体の価格も1/10くらいで購入できることもあり、東アジアを中心にたくさん普及しています。

ウォータージェット織機
ジェット水流によって、よこ糸が飛ばされて製織されます。
ウォータージェット織機
ジェット水流の勢いが非常に強い事が良く分かります。
ウォータージェット織機
たて糸が織機の後方から張られているのが良く分かります。

グリッパ織機/プロジェクタイル式織機

1952年にスイスのスルーザー社が生産を開始した高速自動織機で、軽量の杼(ひ)がよこ糸を交差した縦糸の間を通る、いわゆる機織り機と似ていますが、よこ糸が左右に行ったり来たりするのではなく、いくつもの金属製のグリッパが一方通行でよこ糸を運んで原反が製織されていきます。よこ糸を掴んだグリッパが高速で撃ちだされる光景から、プロジェクタイル(projectile:発射物)式とも呼ばれます。

たて糸を同じテンションで張る為に、事前に必要なメーター数だけ巻き取ってから製織を始めるので、原反のたるみは比較的少ないです。

織機自体の価格がかなり高額な上、摩耗の激しい素材の部品が使われている事で調整や交換が必要な場合が頻繁な為、維持するのが大変な事もあり、ウォータージェット織機などの汎用性の拡大に伴い、使用される規模は小さくなりました。

しかし、ウォータージェット織機やシャトル式織機では不可能な広幅の織物を織る事ができると言う面で需要があり、2022年現在では、6.5M幅の織機も存在しています(通常は、4M弱が一般的な織り幅)。

レピア織機

ヨーロッパで19世紀に開発され、本格的に1950年代以降に商業化した織機で、日本国内では、1965年から海外のメーカーとの技術提携により実用化されました。

レピア(16世紀頃から欧州で普及した細身の剣で、後にフェンシングの刀として普及した)と言われるヘッドがよこ糸を運んで製織を行います。

通常のシングルレピアとは別にダブルレピアと呼ばれる織機は、一つのヘッドがよこ糸を中央辺りまで持って行き、別のヘッドにリレー形式でよこ糸を引継ぎ、原反を織って行きます。
2つのヘッドを使用する事により、より広い幅の原反を織ることができる為、シングルレピアより使用頻度が高いです。

価格は、グリッパ織機ほど高価ではありませんが、それなりに高額とは言え、多色緯糸織物と言う点で優位性がある為、世界中で最も多く使用されています。

サーキュラー織機(円形織機)

海外では、19世紀末から20世紀初頭にかけて設計や改良がされていましたが、1906年に日本人の豊田佐吉さん(トヨタグループの創始者)が発明し、画期的な織機として世界19か国で特許を取得しました。

構造は、織機の左右に配置されたヤーンからたて糸を張り、織機の中に取り付けられた複数のシャトルによこ糸のコーンを取り付け、そのシャトルが円形織機内をグルグルと回る事で製織を高速で行います。
これまで紹介した織機とは違い、織りあがった原反は上部へ向かって織りあげられます。

円形に製織される為、出来上がった原反は継ぎ目のない筒状(エンドレス原反と呼ばれます)になっています。
底部分の一片を縫製するだけで袋状になるので、肥料袋や土のう袋のような小さめの袋用の原反として織られることが多いですが、フレコンなどの大型の袋でも使用されています。

それ以外では、広幅の原反が必要な場合、例えば直径2Mのエンドレス原反を生産し、切り開けば4Mの広幅として使用する事も可能となる為、さまざまな用途の需要に対応する織機です。

加工ついて

大村商会で取り扱っている梱包資材は、上記の工程で生産された原反(クロス)を大阪の石津工場や福島県のいわき工場でクラフト紙やバリア機能フィルムと貼り合わせたり、ラミネート加工を行っております。

シートのカットなどは、福岡県の弊社にて行いますので、最大幅3,000mmまで、長さ6,000Mまでで、ご希望のサイズをお知らせください。

防水梱包

防水梱包クラフト紙や合成繊維で出来た原反にPE皮膜のラミネートコーティングを行い、水から製品守ります。

強度を持たせる為にクラフト紙を2枚重ねで貼り合わせた防水ポリサンド紙やクラフト紙にクロスを貼り合わせた防水ハイパックもございます。

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防湿梱包

防湿梱包アルミ箔やバリア機能フィルムと呼ばれるアルミ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム(酸化ケイ素を蒸着させたシート)など、湿度透過が低い素材を積層し、ゼロに近い湿度透過性を実現しました。

補強クロスなどの緩衝素材を用いることで、梱包資材自体に強度を付ける事も可能です。

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