> 貿易業務の一連の流れ
> よく耳にする貿易用語
> 貨物の輸送について
> 海上コンテナの種類
> 貨物輸送に関する用語
> 貿易条件について
> インコタームズ2020
> 船積書類について
> 輸出入に必要な書類
> 代表的な船積書類
> 船荷証券(B/L)
> 関連商品
貿易業務は、大きく分けて空輸と海上輸送の2つに分ける事ができます。
今回は、大村商会が行っている海上輸送での貿易業務にフォーカスしてご説明いたします。
主な業務としましては、海外取引先との契約~輸送~支払(決済)に関して、一連の流れは、以下の通りです。
- 契約
- 海外の企業と取引を始めるにあたって、契約を締結します。
契約の内容には、納期、生産ロット数、価格、支払条件などが含まれています。
- 船積(ふなづみ)
- 貨物をコンテナ船に載せることを船積と言います。
荷送人は、事前に本船への積載を予約し、荷受人に船名やVoyage No.(航海番号)を連絡する事で、荷受人は貨物の引取りの予定を立てることができます。
- 通関
- 荷積み前、及び荷揚げ後に税関に対して行う手続きです。輸出入の許可を得ることで貨物を引き取る事ができます。
尚、通関業務を行えるのは、国家試験である通関士の資格を持つ者です。
- 決済
- 荷受人が荷送人に対して、契約時の支払条件に沿って、代金を支払います。
支払条件は、前払いやB/L発行後一ヶ月以内など。
又、支払方法としては、電信でのT/T送金や信用状(LC)などがあります。
- Notify Party
(ノティファイ・パーティ) - 略語は、NTFY。
貨物の到着連絡を受ける人。
荷受人と同じ事もありますが、商社がConsigneeで買主が別にいる場合は、Notify Partyには、買主の情報。
又、三国貿易の場合、例えば荷送人がベトナムで荷受人が韓国、Notify Partyが日本と国をまたぐ場合もあります。
- 乙仲(おつなか)
- 海上貨物を取扱う業者で、フォワーダーと呼ばれる場合もあります。
輸送手段となるものを所有していませんが、荷主と契約をして国際輸送で貨物を輸送する手配を行う業者です。
多くの乙仲には、通関士が常駐しており、税関への申請や保税倉庫での立ち合い検査などに対応してくれる場合が多い。
- NVOCC
(エヌブイオーシーシー) - Non Vessel Operating Common Carrier
自社で船舶を持たずに国際輸送を請負う貨物利用運送事業者。
上記で説明した乙仲(フォワーダー)がこれにあたります。
- 船社(せんしゃ)・
船会社(ふながいしゃ) - 海上運送に限らず、旅客船も扱う海運会社。
空路に置き換えて考えると、飛行機を所有している航空会社と言う事になります。
- 港湾(こうわん)
- 各地の港に船舶が安全に停泊し、荷役や乗降を行える様に外界と隔てられた水域の事で、着岸地には、コンテナを収容するコンテナヤードなどの施設もあります。
- CFS(シーエフエス)
- Container Freight Station
船会社やNVOCCが小口混載貨物(LCL)を取扱う場所。
- CY(シーワイ)
- Container Yard
船会社のコンテナ置場。
- フリータイム
- 船が港に着いてから、コンテナや貨物がCYやCFSにて、追加費用などが発生しない保管期間。
船社などによって条件が変わりますが、大体一週間前後。事前に延長申請を行えば、期間を延長する事も可能。
- Demurrage(デマレージ)
- フリータイム以降のCYやCFSでの貨物保管超過料金のこと。
- Detention(デテンション)
- フリータイム以降のコンテナ返却延滞料金のこと。
- ETA(イーティエー)
- Estimated Time of Arrival
到着予定日。
- ETD(イーティディー)
- Estimated Time of Departure
出発予定日。
- FCL(エフシーエル)
- Full Container Load
フルコンテナに積載した貨物のこと。
- LCL(エルシーエル)
- Less than Container Load
フルコンテナに満たない貨物。混載便とも言う。
- HS CODE
(エイチエス・コード) - Harmonized System Code
国際貿易商品の名称および分類を世界的に統一した6桁のコードのこと。
海外との取引を行う上での輸送方法は、ほとんどが空輸か海上輸送になります。
空輸は、乗り継ぎや飛行機の積載調整などで、少し時間を要する事はありますが、基本的に数日で到着する事ができます。
急を要する場合に利用する事が多いと思いますが、その分、輸送費がかなり高くなります。
海上輸送は、東アジアから日本に向けて船積した場合、大体2~3日で到着しますが、欧州から船積した場合は、6週間以上掛かってしまいます。その為、貨物を入手できるまでの時間を予め予想した上での取引を心掛ける必要があります。
但し、空輸とは違い、輸送コストを抑えられる事に大きなメリットがあります。
海上輸送での貨物輸送で欠かせないコンテナ。
規格としては、20ft(フィート)、40ftと少し高さのある40ft High Cube(HQ)があります。
最もよく使用されているのがドライコンテナ(Dry Container)で、現在では主流となっています。
ドライコンテナ以外の特殊コンテナには、冷凍コンテナ(Refrigerated Container)や冷蔵コンテナ(Reefer Container)があり、その名の通り、生鮮食品や温度管理が必要な化成品などの輸送に使われます。
オープントップコンテナ(Open Top Container)は、屋根部分がない為、嵩高な貨物や上部から荷役する必要があるものに適していますが、積み上げられる場所に限りがある為、割高になります。
その他には、天井と側面がないフラットラックコンテナ(Flat Rack Container)があり、長尺物や重量物の積載に使用されます。こちらも積み上げる場所が限られている為、割高になります。
又、液体貨物を輸送する為のタンクコンテナ(Tank Container)もあります。
貨物輸送に関する用語
- Vanning(バンニング)
- コンテナに貨物を載せる事。
一応英語ですが、海外の取引先に通じない事が多いので、代わりに“Loading 〇〇 into a container”を使用する方が伝わります。
- Devanning(デバンニング)
- 通称:デバン
バンニングの対義語で、コンテナから貨物を降ろす事。
こちらも”Unloading 〇〇 from the container”の方が通じます。
- Drayage(ドレージ)
- 貨物を港から荷受人へ陸送する事。
主にコンテナのけん引の事で使われる。
- Chassis(シャーシ)
- 語源は、フランス語(châssis)、又は英語で、意味は、枠組み、車体、車輪など。
この意味から想像がつくように、けん引車でコンテナを移動させる為に載せる車輪付きの車体の事をシャーシと言います。
載せるコンテナのサイズや重さによって、車輪の数が変わり、2軸、3軸と呼ばれます。
- Gross Weight(G/W)
- 梱包重量を含む貨物の総重量のこと。
- Net Weight(N/W)
- 梱包重量を除く貨物の正味重量のこと。
- POD
- Place Of Deliveryの場合、最終的な貨物の配送先。
又は、Port Of Dischargeの場合は、B/L上の荷揚げ港の事。
- POL
- Port Of Loading
船積港の事。
インコタームズとは、海外との貿易を行う上で、条件の解釈の違いで発生する可能性のあるトラブルや行き違いを避けるために1936年に国際商業会議所(ICC)が制定した貿易取引条件の国際規則の事です。
万が一の場合、荷送人と荷受人の間で輸送費の負担や危険負担の範囲が分からないとどちらに責任があるかが分からなくなります。
その範囲を明確にするのがインコタームズで、現行のインコタームズ2020では、11種類の適応範囲に分かれています。
- EXW
- Ex Works:工場渡し
荷受人が荷送人の工場などで貨物の引取り、輸出入通関手続きなど全ての手続きは、荷受人が行う。
- FCA
- Free Carrier:運送人渡し
荷受人が指定した運送人に貨物を引き渡した時点で、荷送人の危険負担は完了。
但し、引き渡し場所が荷送人の工場などの場合は、荷積みまでの責任を負う事になります。
- FAS
- Free Alongside Ship:船側渡し
本船が入稿する港での引き渡しで荷送人の義務は完了しますが、輸出通関手続きは、荷送人。
荷受人は、引き渡された時点で損傷などの負担を負う事になり、輸入通関手続きは、荷受人。
- FOB
- Free on Board:本船渡し
荷送人は、本船の船上での貨物を引き渡し危険負担は完了。
荷受人は、引き渡し後から、紛失など全ての責任を負う事になります。
- CFR
- Cost and Freight:運賃込み
荷送人は、本船の船上での貨物を引き渡し完了しますが、仕向地(港)までの運賃を負担。
輸出通関手続きは、荷送人。
荷受人は、FOBと同様に全ての責任を負い、輸入通関手続きも行う。
尚、同条件で「C&F」と言われる場合もありますが、古い呼び方なだけで、内容は同じです。
- CIF
- Cost Insurance and Freight:運賃保険料込み
荷送人の引き渡しはFOBと同じですが、貨物の損傷などを保証する為に海上保険料を支払う。
但し、海上保険が掛けられていても、最小限の保証しかない為、貨物の輸送には十分注意する事が必要。
- CPT
- Carriage Paid To:運送費込み
荷受人が指定した運送人に荷送人が貨物を引き渡しで終了しますが、指定仕向地までの輸送費、及び通関手続きは荷送人が負い、輸入通関手続きは、荷受人。
- CIP
- Carriage and Insurance Paid to:運送費・保険料込み
貨物の引き渡し条件は、CPTと同様ですが、指定仕向地までの輸送費、及び運送保険を荷送人が負担する。
輸出通関手続きは荷送人で、輸入通関手続きは、荷受人。
- DAP
- Delivered At Place:仕向地持ち込み渡し
貨物を荷受人が指定した仕向地(港)の倉庫まで、荷下ろしする必要はありません。
荷受人が倉庫での荷下ろし以後、危険負担・輸入通関手続きは、荷受人。
- DPU
- Delivered at Place Unloaded:荷卸し込み持ち込み渡し
荷受人が指定した仕向地(港)の倉庫で荷下ろしするまでが荷送人の負担になります。
荷下ろし以降の危険負担・輸入通関手続きは、荷受人。
- DDP
- Delivered Duty Paid:関税込み持ち込み渡し
荷送人が荷受人の手元に届くまで、全てを請負う為、輸出入通関手続きはもちろん、関税(付加価値税)も荷送人が負担する。
いわゆる「Door to Doorサービス」。
大村商会のグループ企業でありますキャプソン株式会社では、貿易のエキスパートとして通関業務だけでなく、倉庫業や輸送業も行っております。
貨物を輸出する場合も輸入する場合も、税関での通関を行う必要があります。
その場合に必要になる商用書類は、貨物の財産権を表すものであり、国際貿易でも認められています。
具体的に言うと、送り状であるインボイス、積載詳細のパッキングリスト、有価証券である船荷証券は必須ですが、仕向地によっては、原産地証明書など、その他の書類も必要になります。
- INVOICE
- 通称:I/V
貨物通関に必要な品名・数量・価格等が記載された書類。
- PACKING LIST
- 通称:P/L
梱包明細。
- Pallet Marking
- 貨物に関して、どのようなものが、どの様な形態や数量で、誰宛てに届けられるか、等の詳細が記載されている書類。
原産国が記載されているのが特徴的。
- 原産地証明書
- Certificate of Origin
通称:C/O
特定国や地域で生産を証明する事で、通常の関税率より低い関税率の適用を受けられる書類。
EPAに基づいた原産品に限られる為、発行できる国や物品も限られる。
通常、船積後に発行される為、原本を入手する事に時間を要する。
- 保険証券
- Insurance Policy
通称:I/P
原則としては、輸出時に発行される保険内容の詳細が記載された書類です。
保険会社に請求する際に提出するものです。
- Arrival Notice
- 通称:A/N
船社が本船の入港日を知らせる貨物到着通知書の事。
- 船積依頼書
- Shipping Instruction
通称:S/I
船積や通関を依頼する為に乙仲や通関業者に提出する指示書。
- 安全データシート
- Safety Data Sheet
通称:SDS
化学物質などの含有や危険性、及び有害性、又、取り扱いなどの情報を提供する文書。
- 非該当証明書
- 安全保障貿易管理において、大量破壊兵器などに該当しない事を証明する文書。
Bill of Lading
通称:B/L
船荷証券とは、船社が荷送人の貨物を受け取った時に発行される書類の事で、貨物引換証を兼ねた有価証券の事です。
- Original B/L
- ShipperがB/Lの原本を国際輸送サービス(クーリエ)などで、荷受人へ送付する必要があります。
原本を入手したら、荷受人側で裏書などの処理が必要。
輸送時間に加えて事務処理の時間も必要になるので、長期輸送での貿易での使用さえる事が多いです。
しかし、デメリットばかりではなく、オリジナルB/Lは、3部送付するので、輸送する際に分割して送れば紛失を防ぐことができます。
- Surrendered B/L
- Surrendered B/L(サレンダーB/Lとも言う)とは、Shipperがフォワーダーに費用を支払い、B/LをShipperが元地回収を行う事で、コピーでもB/Lの役割を果たす為、B/Lの原本を送付する必要が無くなったB/Lの事。
SurrenderedされたB/Lは、紙面上に「Surrendered」や「Telex Release」などのスタンプが押されている事が特徴。
そもそもSurrendered B/Lが使われる様になったのは、輸送時間の高速化により、仕向地で荷揚げされても手元にB/Lがないので貨物の引取りができない問題を解消する為。
- Sea Way Bill
- 実は、有価証券ではなく海上輸送状になる為、L/Cでの取引が行えません。
Sea Way Billを使用するにあたっての大きな利点は、荷受人が書類のConsigneeと同じである事が証明されれば、貨物を引き取る事が可能になります。
その為、原本の輸送費やShipperがフォワーダーに支払うSurrender費用などのコスト削減が可能になります。
本船出港後、Sea Way Billが発行されてしまう為、荷受人は荷揚げされればいつでも引き取れてしまうので、Shipperは代金回収リスクを発生する可能性があります。
Sea Way Billを使用する場合は、荷受人との信頼関係がある事を前提に使用する事が望まれます。
- *Airway Bill
- *航空貨物運送状の事ですが、海上運送の書類の船荷証券と同じ働きをする書類の事。