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荷役効率化・ネスティングラック

2022.12.16

> ネスティングラックとは
> ネスティングラックの歴史  
> ネスティングラックの規格
> ネスティングラックとパレットラックの比較

ネスティングラックとは

ネスティングラックネスティングラックとは、倉庫内で荷物を横方向に平置き(じか置き)するのではなく、縦方向に天井まで有効活用する為に棚(ラック)の役割を果たす物流機器の一種です。

名称は、ネスティングラックの他、ネステナー、ネスラックと呼ばれる事もあり、形状が鳥の巣(英語:nest)に似ている事に由来しています。

ネスティングラックの特徴は、棚に荷物を載せたまま移動する事が可能で、工場内のレイアウト変更が容易な為、入出荷や生産の予定に合わせて変更できます。

重ねて保管可能な為、繁忙期以外や不使用時に場所を取りません。

ネスティングラックの歴史

今回、ネスティングラックの歴史に関して、色々と調べてみた所、以前に書いたパレットのコラムの続きとなる内容ですが、1920年代にフォークリフトの原型となる高所作業車をアメリカのThe Yale and Towne Manufacturing社が製造し始めたことで、これまでの人力による荷物の積み下ろしが不要になり、倉庫内でのパレット移動も容易に行える様になりました。

その事で、倉庫内での移動や積み下ろしが楽になった事で、荷物を積み上げる需要が出てきました。

しかし、全ての荷物を積み上げられる訳ではなく、壊れやすい物は、平積みするしか方法はありませんでした。
また、重貨物の場合、丈夫であっても積み重ねるとその重さで下の物が変形してしまう問題も発生しました。

そこで開発されたのが、現在のパレットラックの前身となる棚を利用する事で、当時、車のフレームを製造している製造工場では、土地を広げる事なく、上へ拡張する事が可能になりました。

1940年代の後半になるとパレットラックと言う言葉が特許申請でよく使われる様になり、倉庫内での荷物の取り扱いを最適化する為やパレットを支える為に必要な存在になりました。

その後、アメリカ国内で、需要に合わせて一部のパレットラックが現在のネスティングラックの形状に変化して行ったと思われますが、今回の調査では、見つけることができませんでした(引き続き調査を行い、情報を見つけ次第、追記する予定です)。

日本では、1973年に日本ネスタウエイ株式会社(現在のエレクター株式会社)がアメリカから日本の市場に導入したのが最初です。

ネスティングラックの形状が鳥の巣(nest)に似ている事から「ネステナー*」と言う名前が付けられ、段積みした場合でも自由にレイアウトの変更ができ、不使用時には重ねて保管する事で場所を取らないと言う点で、現在、倉庫業で不可欠なものになりました。
*「ネステナー」は、エレクター株式会社の登録商標です。

ネスティングラックの規格

種類

正ネスティングラック
(正)ネスティングラック
逆ネスティングラック
逆ネスティングラック
(正)ネスティングラック
荷物を載せるための棚が下にあるタイプで、パレットの格納は1枚。

荷物を直置きしたくない場合や入出荷の頻度が高く、レイアウトの変更をよく行う倉庫に適している。
逆ネスティングラック
荷物を載せるための棚が上にあるタイプなので、パレットを上下に2枚格納できる。
その為、少ない台数で運用する事が可能。

正ネスティングラックと比べると段積みした場合の高さが低い為、天井が低い倉庫での使用に適している。

上記のことから、逆ネスティングラックの方が上下に2カ所格納できる事や段積みした際の高さの問題などを鑑みて、(正)ネスティングラックより逆ネスティングラックの方が使用される事が多く、比率は、1:9、又は2:8くらいです。

スペック

サイズ
一般的には、1,100mm×1,100mm(通称:イチイチ)のパレットを格納できる幅1,350mm×奥行1,200mm、高さは1,250~2,050mmで生産される事が多いです。

高さに関しては、パレットの高さが大体150mmなので、その上にどれくらいのものを載せるかで決まりますが、出し入れの利便性を考慮して高さ1,550~1,750mmがよく選ばれます。

その他のサイズでは、高さがあるハイネステナーの高さは2,050mm、幅があるワイドネステナーの幅は2,550mm等です。

使用状況により、別注で大型ネスティングラックを生産することも可能で、弊社取扱商品では、最大幅2,450×奥行1,200×高さ2,550mmでの生産実績があります。
材質
主にスチール。亜鉛メッキで生産されることもあり、亜鉛メッキの場合は、錆びない上、強度があります。
耐荷重
1,000kg程 ※一般的なサイズの場合。
背が高い場合や幅広の場合は、耐荷重が小さくなります(500~700kg程度)。
最大段数
4段(高さが1m前後のネスティングラック)、又は2段(背が高いネスティングラック)。
天井まで有効活用できるが、安全性の面を考慮して、最大高さ4mくらいまで。
耐用年数
使用状況によって異なりますが、5~10年を目安に買い替えるのが好ましいです。

但し、錆の発生や接合部分の破損、支柱のゆがみや棚のたわみなど、劣化が見受けられた場合は、突然、荷崩れを起こし、事故に繋がる恐れがある為、安全性を考慮して買い替える事を推奨いたします。

又、塗装がはがれていると、その部分から錆が発生してしまうので、日頃から目視で劣化の点検を行う事もお薦めいたします。

接合方式

ネスティングラック上ピンタイプ
上ピンタイプ
ネスティングラック下ピンタイプ
下ピンタイプ
ネスティングラックレールタイプ
レールタイプ
上ピンタイプ
前方上部の両角に2cmほどのピン(突起)があり、前方下部の両角にあるくぼみにはめ込む。
下ピンタイプ
前方下部の両角に下向きのピン(突起)があり、前方上部の両角にあるくぼみにはめ込む。
レールタイプ
上部両サイドにある三角形のレール部分を下部両サイドにある三角形のくぼみにはめ込む。

上・下ピンタイプと比べると安定性が高く、(正)ネスティングラックに採用されている事がほとんどです。

パレット積載面について

ネスティングラック井桁
井桁
ネスティングラック木桁
木桁
ネスティングラックオリジナル
弊社オリジナル

通常、パレット積載面は、漢字の「井」の字を表した「井桁」と「木」の字を表した「木桁」の2種類に分かれます。

上記図でご確認頂けますが「井桁」の場合、パレットを支える桁部分やブロック(脚)部分に支柱が無い為、重量物を載せた樹脂パレットの場合、時間経過により破損してしまう場合があります。

「木桁」の場合は、中央の十字の支柱と四角を斜めに渡る支柱により、パレットの桁やブロックを支える事ができるので、パレットの破損を軽減できます。

尚、大村商会取扱品には、オリジナルで「井桁」に支柱一本増やし、パレットの桁やブロック部分を支えることにより、パレットの破損を大幅に軽減するネスティングラックも取扱っております。

ネスティングラックとパレットラックの比較

ネスティングラックネスティングラック
【メリット】
レイアウト変更時に小回りが利く。
フォークリフトで移動が簡単。
不使用時は、重ねて保管できる。
組み立て、解体が不要。

【デメリット】
地震などの揺れに弱い。
平面上、パレットのサイズとほぼ同じ面積。
荷役作業のために余裕が必要(手前5cm)。

パレットラックパレットラック
【メリット】
平面上広く、棚の高さの調整が可能で、高さも自由。
多様な荷姿のものに対応(パレットに収まらない長物など)。
棚の全面積を使う事ができる。
天井が高い(6~7mなど)場合でも、設置可能。

【デメリット】
固定の為に床に穴(アンカー)を空ける必要がある。
棚自体を移動できない為、荷物を個々で動かさないといけない。
組み立て、及び解体が必要。

ネスティングラックとパレットラックを比較してみて、上記の通りメリットとデメリットが分かりました。

ネスティングラックは、季節によって繁忙期があったり、入出荷の頻度が多かったり、在庫品の移動や倉庫内のレイアウト変更をよく行う業種に適しています。

対してパレットラックは、場所が固定されてしまう為、在庫数に限りがあり、一定の入出荷を繰り返したり、長物などの大きめの製品を扱ったりするような業種に適用します。

又は、弊社の倉庫もそうですが、一部分にパレットラックを置き、長物のクロスや加工紙を保管し、入出荷の頻度が多い小物(PETバンドや梱包テープなど)は、ネスティングラックを使用して、両方のメリットを有効活用する事もできます。

大村商会では、一般的なネスティングラックから別注のネスティングラックまで、幅広く取り扱っておりますので、倉庫内の保管効率の改善や向上をご検討されている場合は、いつでもお気軽にご相談ください。

ネスティングラック

ネスティングラック倉庫内の製品を効率よくレイアウト。入出荷に合わせて、在庫の出し入れを楽に行えるネスティングラック。

繁忙期以外は、重ねて保管も可能です。(正)ネスティングラックと逆ネスティングラック、いずれも取り扱っておりますので、倉庫の状況に合わせて使い分けて頂けます。

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カゴ台車

カゴ台車
物流センター、空港、ホテルやスーパーなど、幅広い業種で利用されているカゴ台車。

ネスティングラックを設置するほどではないけど、細かいものを一度で移動したい場合にお薦めです。

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